ワークと一言で括れるからこそ、その世界の奥行が感じられるというもので、ワークコートという一括りにもまたその奥行と同じくな極めて広大なバリエーションの広がりが存在致します。それらの中にはオーソドックスなマスターピース的モデルもあれば、職種や目的性や時には時代などに則った個性溢れるモデルも存在しまして、本品は真に後者な一着となります。

元々はメディカルの分野に向けての設計と推測される本品。シャツとコートを融合させたかのような着せ方と最終的な装いの着地点に異常なまでの設計意識を感じずには居られませんで、ボタンによって最上部まで留めた際の・そしてポケットの非対称ならではの存在感であったり、コートにしては滑らかな生地感かつフィット感であったり。弊店にとってそれらは全て見事なまでの“ デザイン ”なのですが、フレンチワークの世界において、ここまで強い設計個性にはなかなかどうして出逢えませんで、もちろんオーソドックスに潜む美しさの時点で既に充分過ぎるほどのモード的な存在価値を認識しているつもりですが、このような“ 別種の強さ ”を眼の前にしますと一層心酔せずには居られません。

やはり恐るべきワーク。世界にはまだまだ美しい様々や驚きが溢れかえっていますね。なお、こちらはオリジナルカラーではなく、元々所有していたコレクター兼アーティストのとある御方による、フランスの天然染料を用いたオリジナルの染色となります。弊店は強い設計個性に加えての強いオリジナルカラー個性の融合に、なによりノックアウトされた次第です。