大胆なオーヴァーサイズやさりげないオーヴァーサイズのみならず、自然なテーラーパターンやコンパクトなフィッティングなど Dries Van Noten の初期作品には様々な方向性があり、どれも目的意識がはっきりとした秀逸なバランスですが、本品はどれにも微妙に絶妙に当てはまらない、これまた“ 巧い ”一着。

ナチュラルな身頃にシャープなアームで長めの着丈という、コーディネート提案やスタイリングの世界観も絶妙なドリス氏らしい組み合わせることを前提としているであろう独特な設計。独特で作為的ではありますが、ウールニットという素材感ともあって着心地に不可は一切生じませんので、どうぞ御安心くださいませ。

またね、ダブルジップというのが最高じゃあないですか。同期にも一人も巧いダブルジップのニットピースを生み出した人物が居ましたが、本品もまったくもって同じくな有用性を秘めているだけでなく嬉しい限りのポケット付きですので、同じくな有用性でありながら別の存在価値をお楽しみ頂けることと存じます。

なんと言ってもオリエンタリズムの編み表情が最高。もうたまりませんよ。クラシックでノスタルジックでありながら、職人の技術力と設計者の感性による美しさは初期時代のドリス氏によるニットピースがいかに特別であったかを再確認させてくれますが、こちらは中でも特に貴重な一着ですのでこの機会に是非にと思います。もう間違いないです。大変に御薦め。