サーモンカラーのカーディガンを皆様お持ちでしょうか？私は持っていませんし、そもそも見たことがあったかな？と思うほどに新鮮ですが、いざこれを目の前にして抱く好印象はやはり当たり前ではないなと。ドリスヴァンノッテンというデザイナーの才覚を改めて認識できます。

スクールスタイルを模しシルエットも自然体ですので、カーディガンらしさと特有の着こなしのふり幅を余すことなく御体感頂ける優秀で絶対的に便利な一着ですが、リブを長めかつ緩く仕上げるところにドリス氏の“ 巧さ ”を感じます。言うなれば見た目としては配置されているものの機能は発揮しておりませんので、着用感もスタイル性も結果的に不可思議なバランスとなり最終的には色調がとどめを刺して自然なようで自然でない個性が完成です。

しかしながら、初期時代特有のベルギーの技術力に満ち溢れたニッティングワークによる良い意味でニットの古典を追したかのようなテクスチャーが最高。 Wool100％ の毛質は羊の脂をしっとりと残し存在感溢れつつ優しい肌触りで編み合わせのクラシックな美学は申し分ございません。

なおこちらは肩のラインが背中方向にスッと逃げるようになっており、意図的に正面からショルダーラインが視認できないようになっているのですが、これはクラシックな紳士服のテーラーリングにて発揮されていた美意識でして、これによってクリエイションとしての難しさは何段階も上がるのですが、美意識以上に単純明快な着心地の良さにも繋がりますので、やはり極上の心配りであると。

インナーとしても羽織りとしても。年間を通じて御体感頂ける幅広い有用性です。