親愛なるドリスヴァンノッテン氏の敬愛なる 1994AW コレクション。クラシックな紳士像や人間らしい暖か味といった文化的なベーシック・ニュアンスに独自の鋭いモードが融合するシーズンより、まさしく“ らしい ”一着を御紹介。

Dries Van Noten 初期時代特有であるオーヴァーサイズ・フィッティングが今回はさりげなく発揮された良い意味でスタンダードな縦横比率ですが、スタンダードだからこそ光る絶妙なパターンの立体感でして、着丈の短さも相まってそれこそトラッカージャケット的なスポーティーなバランスになりがちなところを、ニットの素材感と色調によって自然体なエレガンスに変換しています。

ニットワークもベーシックですが、肩・身頃・そしてポケットのそれぞれ“ 圧が加わる部分のみ ”編み変えすることで、デザインと機能性を直結させることに成功。このようなアイディアも当然服飾史的なスタンダードなのですが、氏の感性では一味も二味も違います。

襟付きポケット付き、そしてジップアップという貴重な設計に加え喜ばしいことにアルパカを主軸に編まれたハイクオリティピース。その要素性に相応しいしっとりと柔らかな素材表情と共に、日常生活・四季それぞれの有用性を末長くお楽しみくださいませ。